わたしはあなたのなんなのだ

あの記事この記事、なんの記事?散逸した記憶の集合体。ニヒリズムの立場から論ず。

ニヒルの山 第4回

 そのうち、夜になってしまう。
 猫が帰ってこない。
 僕の猫が帰ってこない。
 まあ、いいや。よくないや。
 どこから入ってくるのかひざしがまぶしい。
 あつい。
 秋なのに。
 全体的にだいだいだ。
 まっかだなというのはうそだ。
 猫が帰ってこない。
 そのうち、夜になってしまう。
 家が風できしむ。
 すきま風が入ってくる。
 さむい。
 いや、あついのだ。
 日が暮れてしまう。
 猫が帰らない。

 あ、耳元に、猫の鳴き声が!
 いないのだ。
 それはやはり、家がきしんだ音なのだ。
 あ、どあの外から、猫のうごく音が!
 いないのだ。
 あれはやはり、外で風が鳴った音なのだ。
 枯葉が4、5枚入ってきて、顔をくすぐる。
 帰ってこない。
 猫が帰ってこない。
 そのうち、夜になってしまう。

つづく 

2013 11 17