わたしはあなたのなんなのだ

あの記事この記事、なんの記事?散逸した記憶の集合体。ニヒリズムの立場から論ず。

「ニヒルの山」 第二回

 山を登ることいくばくか。バスは山中の中途半端なところで止まって、「終点です」などとのたまう。たいがいにせいと思いつつ降りると、山鳥がちゅんちゅんと鳴き、川の流るる音がどこからともなくする。バスは行ってしまった。残されたのは俺ひとりである
 時刻表を見れば、なぜか帰りのバスが載ってない。バスは片道のようだ。んなバカな。
 まあどうせよいのだ。しばらく下界に帰るつもりはない。
 手ぶらの手をぶらぶらさせながら、俺は山林へと分け入った。
 何の木かは知らぬが、思ったよりまばらである。進むのに困難だというほどではない。
 どこかよいところがあれば、座ってのんびりしたいなあ。そう思いつつふらふら歩く。木漏れ日がなんとなくあったかくて気持ちいい。
 と、唐突に、眼前に家が現れた。古びた家だ。赤い塗装がはげかかっている。周囲には枯葉が敷き詰められている。家主はいるのか

つづく

2013 11 8