わたしはあなたのなんなのだ

あの記事この記事、なんの記事?散逸した記憶の集合体。ニヒリズムの立場から論ず。

「ニヒルの山」 第一回

 男は、悩んでいた。
 彼は哀れな男だった。若くして心と体が老いさらばえて、なんだか日持ちのしない食品のようであった。
 しかし、自然食品とはいかず、彼は添加物で身を飾っていた。いい加減にいい加減にしてほしいと思うのは常であったが、彼の怒りがどこへ向かっているのかも彼は知らないのであった。いつのまにか彼は迷子になっていたのだ。
 ピンポンパンポーン。お呼び出しを申し上げます。西方よりお越しの、何鱈 寒鱈さん、何鱈 寒鱈さん、お連れの方がお呼びです
 誰だ、俺を呼んでいるのは。というかお連れの方って誰だ。彼は振り返った。
 そこにはバスのシートがあるだけだった。やわらかそうだ。

 バスは進む。山の方へ。今日は朝から出てきたのだ。こんな身なりして。 ししし。よそいきの格好だ。おのぼりさんだ。
 バスはのぼる。かたむく。停留所は見えるけど人はいない。よってバスは無視する。先へ行く。さいなら無人のバス停。乗っているのは僕だけ。

つづく?

2013 11 7