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わたしはあなたのなんなのだ

あの記事この記事、なんの記事?散逸した記憶の集合体。ニヒリズムの立場から論ず。

幻想小説「現状」 第七話(番外編)

水槽、というよりは、いけす、あるいは、屋外であれば池と呼ぶべきであろうか。 前回の更新から2か月半ぐらい経った。もちろん2カ月半水槽に浸る習慣をやめてしまっていたわけではないが、なんとなく放置しているうちにこんなに時間が過ぎてしまったのであ…

幻想小説「現状」 第六話

水槽に身を沈めていて、ふと脇の方を見やると、いつのまにやら脇毛がけっこう生えていた。かつては、両脇に一本ずつ、ぴょいとやる気なく生えていて、あとは産毛程度だったにも関わらず。まあ脇毛の話はどうでもよいのだが、今年も誕生日が近い。誕生日を、…

幻想小説「現状」 第五話

僕は人造人間なのではないか、と、水槽に身を沈めながら僕は思っていた。 もちろん、自分がサイボーグであるとか、そういった類の主張ではない。もしそうなら、現にこうして水槽に浸かってなどいられないはずだし。 そうではなく、人造人間である。つまり、…

幻想小説「現状」 第四話

これは今日は寝られないな、と、一日一回入る水槽に身を浸しながら僕は思った。 そもそも人間はそんなバラエティ豊かな水槽の入り方などするはずがない。せいぜいが入浴剤で気分を変えるか、時折バラだの泡だの浮かべてみたりするくらいで、そんな風流な習慣…

幻想小説「現状」 第三話

毎日のように水槽に入っていると、たまに、無性に、波を立てたくなるときがある。 それは小さな波ではなく、大きな、身体を揺らして作る類の、あるいは小学校でみんなしてプールを同じ方向にぐるぐる回り作りだすような、身体の持って行かれそうなほどの大き…

幻想小説「現状」 第二話

インターネットで向井秀徳という人物の動画を漁って、明日になって、風呂に入り、気持ちよさそうに酔っぱらっている人を見ると、私も酒を飲みたい、と切に思うのであるが、私は規律を重んじる人間なのではたちを越えるまでは飲酒などせん、規律の恐ろしいと…

幻想小説「現状」 第一話

非常にがっくし来ている、と、泡をぶくぶくやりながら僕は思った。 一日に一回入る水槽の中に身を沈めて、今日は乳白色に水色を混ぜたような色だ、草津の湯、らしい、遠い群馬の地を思いやりながら、ニューヨーク。自分の身体はその色に隠されてみえないが、…